概要

こまねこまつりは、京都府京丹後市峰山町の金刀比羅神社とその周辺市街地で、毎年9月上旬に行われる「まちあるきイベント」である。金刀比羅神社境内の末社・木島神社に鎮座する全国的にも珍しい「狛猫(こまねこ)」を核に据え、地域おこしをめざす町民らによって2016年(平成28年)に第1回が開催された、比較的新しい祭りである。手づくり市やアート展、保護猫セミナー、町内の飲食店による猫モチーフの限定メニューなど、多彩な催しが神社エリアとまちなかエリアに展開され、人と人とのつながりを広げながら、峰山の魅力を再発見することをめざしている。

歴史と由来

峰山町は、1720年(享保5年)に絹屋佐平治がこの地で織り出した丹後ちりめんの主要産地として栄えた町である。養蚕に害をなすネズミを退治する猫が大切にされ、金刀比羅神社境内の木島神社・猿田彦神社には、養蚕の守護として狛犬ならぬ「狛猫」が奉納された。木島神社は1830年(文政13年)、京都・太秦の蚕ノ社から養蚕の守護神として勧請された社である。しかし、オイルショック以降の不況や格安の輸入製品におされて絹織物の生産量は激減し、町の活気も失われていった。その状況に危機感を抱いた地元住民らが、町の歴史に誇りを取り戻そうと、この珍しい狛猫を中心とした地域おこしを発案。金刀比羅神社の御鎮座200年にあたる2011年(平成23年)に「ねこプロジェクト」が発足した。アーティストが制作した素焼きの陶製こまねこに市内の小学生らが絵付けを行って境内に並べる取り組みなどが続けられ、その発展形として2016年に「こまねこまつり」が始まった。

見どころ

中心となる金刀比羅神社エリアでは、2009年から続く「こんぴら手づくり市」をはじめ、陶製こまねこやねこ絵馬の絵付けといった体験型の催し、プロのアーティストによるキルト展や「猫の目」作品展などのアート展、保護猫活動の展示や猫グッズの販売などが行われる。丹後ちりめんを用いた伝統のつるし飾りや、撮影スポットも用意される。一方「まちなかエリア」では、丹後ちりめんの老舗の店内公開や、ちりめん風呂敷・手機(てばた)の体験、空き店舗を活用したアート展などが展開される。町内の飲食店や菓子店では、「狛猫ばらずし」「狛猫もなか」など猫をモチーフにした限定メニューや商品が並び、約1か月前から行われるスタンプラリーも人気を集めている。

開催情報・アクセス

開催は毎年9月上旬。会場は京丹後市峰山町の金刀比羅神社および周辺地域である。最寄り駅は京都丹後鉄道宮豊線の峰山駅で、駐車場は京丹後市役所前や金刀比羅神社駐車場が利用できる。関連企画として、京都丹後鉄道の1日乗り放題切符「こまねこきっぷ」(222枚=にゃんにゃんにゃん枚限定)が毎年販売されるなど、鉄道とも連携した催しが行われている。なお、屋外イベントが中心のため、台風や悪天候の影響で一部が中止・延期となる年もある。

周辺の見どころ

会場の中心である金刀比羅神社の境内には、由来となった狛猫が鎮座する木島神社のほか、参道の石段に自然石へ猫の絵を描いた「石ねこ」が常設展示されている。峰山町を含む京丹後市一帯は、日本遺産「丹後ちりめん回廊」の構成地域であり、丹後ちりめんの歴史を today に伝える商家や町並みが残る。日本海に面した丹後半島は、海の幸や景勝地にも恵まれ、織物文化と自然の両方を楽しめる土地である。

関連情報

こまねこまつりの核である狛猫は、2020年(令和2年)9月に「金刀比羅神社石像狛猫」として京丹後市の文化財に指定された。各種メディアでも京丹後市を代表する観光名所として取り上げられるようになり、峰山町が「狛猫の町」として認知される一翼を担っている。第1回は来場者1,000人を目標としながら、SNSでの拡散もあって2,000人以上が訪れ、飲食店が満席になるなど町に賑わいをもたらした。歴史ある伝統行事ではなく、衰退した地場産業の記憶と地域資源を掘り起こして生まれた現代の祭りであり、住民主導のまちおこしの一つの成功例として注目される。


出典・関連リンク

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