県祭り(あがたまつり)は、京都府宇治市の縣神社(あがたじんじゃ)で毎年6月5日から6日にかけての深夜に行われる祭礼である。明かりを一切消した暗闇のなかで神事が営まれることから「暗夜の奇祭」とも呼ばれ、宇治の初夏を彩る神秘的な祭りとして知られる。

この祭りの最大の特徴は、その名の通り深い闇のなかで行われる「梵天渡御(ぼんてんとぎょ)」である。日付が変わった深夜、町の灯りが消され、御神体を遷した「梵天」と呼ばれる大きな御幣が、担ぎ手たちによって町を渡御する。漆黒の闇のなか、梵天を勢いよく回転させる「ぶんまわし」が披露され、人々のざわめきと熱気だけが闇に満ちる光景は、他に類を見ない幻想的な体験である。

縣神社は、宇治の総鎮守であり、平等院とも深い関わりを持つ古社である。県祭りは、暗闇という非日常の空間で神霊を迎えるという、古代の信仰のかたちを色濃く残す貴重な祭礼として注目される。深夜にもかかわらず、夜店が立ち並び数多くの参拝客で賑わうこの祭りは、世界遺産の町・宇治に伝わる神秘と活気が同居する、初夏の風物詩である。


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