概要

斎王まつりは、例年6月上旬の土曜日に、三重県多気郡明和町のさいくう平安の杜周辺で開催される。この祭りは、古代の斎王が京の都から伊勢神宮へ派遣された様子を再現した歴史イベントであり、近鉄斎宮駅から徒歩約15分の会場に約120名の参加者が平安装束を身に纏って練り歩く。雨天の場合は中止となるが、1983年の第1回以来、地域の伝統として継承されている。

斎王とは、天皇の代わりに伊勢神宮の天照大神に奉仕するために選ばれた未婚の皇女であり、飛鳥時代から約660年間に60人以上がその役目を果たした。斎王まつりは、そうした女性たちの厳しい境遇や歴史に思いを馳せる機会として、地元婦人会の発案で始まった。現在では毎年一般公募から斎王役が1人選ばれ、平安時代の王朝絵巻を現代に甦らせる祭りとして、これまでに40回以上重ねられている。

歴史・由来

斎王制度は、天皇が即位するたびに未婚の皇女が伊勢神宮に奉仕するために派遣された慣習であり、その歴史は飛鳥時代に遡る。明和町の斎宮は、斎王が住んだ宮殿や神を祀る場所、管理する役人の建物が存在した重要な遺跡であり、1970年から本格的な発掘調査が始まった。この調査により、斎宮の規模や構造が明らかになり、国の史跡として指定されるに至った。

1983年、地元婦人会が「斎王をお祀りしよう」と発案したのが斎王まつりの始まりである。当時は町内から選出された斎王役や女官役による簡素な催しだったが、遺跡発掘の機運と相まって、地域住民の手で祭りが形作られていった。第1回は1983年6月に開催され、以降毎年続けられることとなる。

祭りの最大の見どころである「斎王群行」が再現されたのは、第3回(1985年)からである。この群行は、京の都から伊勢(斎宮)への5泊6日の行程を模したもので、当初は簡素な装束だったが、第7回(1989年)から現在のような絢爛豪華な平安装束を身に纏った群行に発展した。さらに、第13回(1995年)からは町内外からの一般公募が始まり、第18回(2000年)からは書類選考を通過した応募者の中から斎王役が決定する選考会が行われるようになった。

2020年から2021年にかけては、世界的なコロナウイルス感染症の影響を受け、2020年は檜扇継承のみの縮小開催、2021年は完全中止となった。しかし、2022年からは再開されている。この間、祭りは地域のアイデンティティとして定着し、現在では平安時代の王朝絵巻を再現する祭りとして、多くの観光客を集めるようになった。

見どころ

出発式(禊の儀・発遣の儀) 出発式は、開催日の午後3時頃に「斎王の森」の東側で行われる。この儀式は、斎王が都を出発する前に身を清める禊の儀と、天皇から派遣される発遣の儀を再現したものである。参加者は、神聖な雰囲気の中で平安時代の宮中行事を目の当たりにし、斎王の旅立ちを厳かに見届ける。

斎王群行 斎王群行は、約120名の参加者が平安装束を身に纏い、「斎王の森」から「さいくう平安の杜」へ向かって練り歩くパレードである。この群行は、京の都から伊勢への5泊6日の道のりを再現したもので、斎王を中心に女官や官人が列をなす。絢爛豪華な装束が風に揺れ、平安絵巻がそのまま現代に甦ったような光景が広がる。

社頭の儀 社頭の儀は、16時頃にさいくう平安の杜で行われる、群行のクライマックスを飾る儀式である。これは、斎王が伊勢神宮に到着し、神前に奉仕する様子を再現したもので、厳かな雰囲気の中で行われる。参加者と観客が一体となり、古代の祭祀の荘厳さを感じる瞬間である。

いつきのみやMARKET いつきのみやMARKETは、10時から斎宮駅北側周辺で開催され、キッチンカーや屋台が多数出店する。このマーケットは、斎王まつりと合同で開催されており、地元の特産品やグルメを楽しむことができる。賑わいの中で、祭りの雰囲気をより一層盛り上げる要素となっている。

平安装束の細部 平安装束は、第7回(1989年)から現在の形式に統一され、十二単や狩衣など、平安時代の宮廷衣装が忠実に再現されている。これらの装束は、京都の染織技術を継承した職人による手作りで、絹や金糸を用いた豪華なものだ。参加者が袖を広げる様子は、まるで平安時代へタイムスリップしたかのような圧巻の光景である。

斎王役の選考と一般公募 斎王役は、毎年一般公募から書類選考を経て選ばれ、第18回(2000年)からは選考会で決定されるようになった。これにより、明和町内外から広く参加者が集まり、祭りの多様性が生まれている。選ばれた斎王役は、公募で集まった女官や群行出演者と共に、祭りの主役として平安絵巻を彩る。

開催情報・アクセス

  • 開催日時:例年6月上旬の土曜日、10時~18時頃(雨天中止)。最新の開催日程・実施可否は公式サイトで確認すること
  • 開催場所:三重県多気郡明和町 さいくう平安の杜周辺(近鉄斎宮駅下車すぐ)
  • アクセス:近鉄山田線「斎宮駅」史跡公園口から徒歩約15分、または近鉄「斎宮駅」下車すぐ
  • 主催:斎王まつり実行委員会
  • 問い合わせ先:斎王まつり実行委員会事務局(電話番号0596-52-0054)
  • 公式サイトhttps://saioh.jp/(最新の開催日程・実施可否を確認のこと)
  • その他:2020年~2021年はコロナ禍で中止・縮小開催となった経緯があるため、最新の開催情報は公式サイトで確認することを推奨する。

周辺情報

斎宮歴史博物館は、さいくう平安の杜に隣接する施設で、斎宮跡の発掘調査で出土した遺物や斎王制度に関する展示を行っている。この博物館では、斎王の生活や歴史を学ぶことができ、祭りの理解を深めるのに最適な場所である。また、復元された斎宮の建物も見学でき、平安時代の空間を体感できる。

さいくう平安の杜は、斎宮跡の一角に整備された広場で、平安時代の建築物が復元されている。祭りのメイン会場となるこの場所は、普段から歴史散策やイベントに利用され、訪れる人々に静かな時間を提供する。周辺には斎王の森もあり、散策路が整備されているため、歴史情緒を感じながら歩くことができる。

明和町には、斎王にゆかりのある大淀の地もあり、斎王と大伴家持が恋物語を交わしたと伝えられる場所である。この地域一帯は、日本遺産や国指定史跡となっており、歴史愛好家にとって見逃せないスポットが多い。また、祭りの前夜祭では、ステージのライトアップが施され、夜の斎宮跡が幻想的な雰囲気に包まれる。

関連情報

  • 斎王まつり公式サイト:最新の開催情報や斎王役の公募案内が掲載されている。運営主体の斎王まつり実行委員会が発信する正規の情報源である。
  • 観光三重の取材レポート:斎王まつりの歴史や見どころを詳細に解説した記事。特に群行の変遷や選考会の仕組みが詳しく記載されている。
  • Wikipedia「斎王まつり」:歴代斎王役の一覧表や一般公募の役柄、関連商品(OG会『小町』コラボの伊勢塩飴)など、包括的な情報がまとめられている。
  • お祭りナビ(OMATSURI NAVI):英語対応の祭り検索サイトで、斎王まつりの英語説明とアクセス情報が掲載されている。電話番号0596-52-0054も確認できる。
  • じゃらんnetイベント情報:基本情報を簡潔にまとめたページで、日時、場所、交通アクセス、主催者などの要点が確認できる。
  • 明和町公式サイト内 斎王資料館ページ:前夜祭のステージライトアップや、100を超えるテント出店の詳細、ボランティア運営の実態などが記されている。また、斎王の役目を終える条件についての説明も含まれている。

出典・関連リンク

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