熊野速玉祭(くまのはやたままつり)は、和歌山県新宮市にある熊野速玉大社の例大祭で、毎年10月15日・16日に斎行される。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する熊野三山の一社・熊野速玉大社に伝わる、千年以上の歴史を誇る格式高い神事である。

この祭りは二日間にわたって執り行われる。15日の「神馬渡御式(しんめとぎょしき)」では、神霊を遷した神馬が氏子区域を巡幸する。そして16日の「御船祭(みふねまつり)」が、本祭りの最大の見どころである。神霊を乗せた神幸船(しんこうせん)を、9艘の早船(はやぶね)が熊野川の御船島(みふねじま)をめぐって競い合う勇壮な船渡御で、川面を疾走する早船と水しぶき、漕ぎ手たちの掛け声が、熊野の聖なる川を熱気で包む。

熊野速玉大社は、古来「熊野詣」で知られる熊野信仰の中心地の一つであり、上皇や貴族から庶民に至るまで、数多の人々が参詣した聖地である。その例大祭である熊野速玉祭は、熊野川という聖なる水の流れと深く結びつき、神々の渡御を船によって表現する点に大きな特色がある。2016年には国の重要無形民俗文化財に指定され、熊野の自然信仰と祭礼文化の精髄を今に伝えている。


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