概要
日前神宮・國懸神宮(ひのくまじんぐう・くにかかすじんぐう)は、和歌山県和歌山市秋月(あきづき)に鎮座する紀伊国一宮であり、皇室の祖神に縁深い格式の高い古社である。日前神宮には日前大神(ひのくまのおおかみ・天照大神の御神体である日像鏡を祀る)、國懸神宮には國懸大神(くにかかすのおおかみ・天照大神の御神体である日矛鏡を祀る)を主祭神として祀り、同一境内に二つの神宮が並び立つ独特の形態を持つ。『延喜式神名帳』では名神大社に列せられ、伊勢神宮に次ぐ「準勅祭社」の格式を持つ。
歴史
日前神宮・國懸神宮の創建は神武天皇東征の時代に遡るとされ、『日本書紀』の伝承によれば、天照大神の御神体として石凝姥命(いしこりどめのみこと)が作った鏡のうち、日像鏡が日前神宮に、日矛鏡が國懸神宮に祀られたとされる。両神宮は紀伊国造(きいのくにのみやつこ)家である紀氏が代々祭祀を司り、古代から朝廷の篤い崇敬を受けてきた。『延喜式神名帳』(927年)では名神大社、特に重要な「准伊勢神宮」格として位置付けられ、明治期の近代社格制度では官幣大社に列せられた。皇室祭祀との深い関わりを持つ紀伊国一宮として、関西地方有数の格式高い神社である。
見どころ
両神宮は同一の広大な境内に並んで鎮座し、伊勢神宮を彷彿とさせる神明造系の社殿建築が深い杜に映える。境内は約8万坪と広大で、楠の巨木が林立する社叢は和歌山県の天然記念物に指定されている。日前神宮と國懸神宮の二つの本殿が並んで建つ独特の景観は他に類を見ず、皇祖神信仰と日本古代の鏡信仰の中核を体感できる。境内には水盤舎、随神門、宝物殿などの建造物があり、紀伊国造家ゆかりの文物・古文書が伝えられている。例祭は4月26日(春季)と10月26日(秋季)で、雅楽奉納・神事が厳粛に執り行われる。
開催情報・アクセス
会場は日前神宮・國懸神宮(和歌山県和歌山市秋月365)。JR和歌山駅から徒歩約20分または車で約10分、和歌山電鐵貴志川線日前宮駅から徒歩約2分。境内参拝は早朝から夕方まで自由(拝観時間あり)。
周辺観光
和歌山市内には和歌山城(御三家・紀州徳川家の居城)、紀三井寺(西国三十三所第2番)、和歌浦・玉津島神社、雑賀崎、紀州東照宮など歴史観光地が集中する。和歌山県内では高野山(世界遺産・真言密教の聖地)、熊野古道(世界遺産)、那智の滝・熊野那智大社、白浜温泉、串本海岸など、紀伊半島の信仰・自然・温泉文化を堪能できる観光資源が豊富。日前神宮・國懸神宮は熊野詣の前後参拝としても古来重視されてきた。
出典・関連リンク
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