管絃祭(かんげんさい)は、広島県廿日市市の世界遺産・厳島神社で行われる海上の祭礼で、旧暦6月17日(現在は7月から8月頃)に営まれる。平安時代の貴族が舟遊びの際に楽しんだ「管絃の遊び」を神事として今に伝える、雅やかで荘厳な祭りとして知られる。

この祭りの最大の特徴は、御神霊を乗せた御座船(ござぶね)が、雅楽の調べとともに広島湾の海上を渡御する点にある。日没後、提灯の灯りに照らされた御座船を、漕ぎ手たちが櫂で漕ぎ進める。笙(しょう)・篳篥(ひちりき)・龍笛(りゅうてき)による幽玄な管絃の音色が暗い海の上に響き渡り、海面に映る無数の灯りとともに、平安王朝絵巻さながらの優美な光景が繰り広げられる。

管絃祭は、平清盛が厳島神社を篤く崇敬し、都の貴族文化を社に持ち込んだことに由来するとされ、約850年の歴史を誇る。海上に浮かぶ朱塗りの大鳥居と社殿を背景に、灯りと雅楽が織りなす幻想的な祭りは、瀬戸内海の島・宮島ならではの神事である。日本三大船神事の一つにも数えられ、海と信仰、そして王朝文化が融合した、他に類を見ない貴重な祭礼として受け継がれている。


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