概要

北海へそ祭り(ほっかいへそまつり)は、毎年7月28日・29日の固定日に北海道富良野市の新相生通り商店街を舞台に行われる夏祭りです。富良野市が北海道のほぼ地理的中心に位置し、人の体に例えればちょうど真ん中の「へそ」にあたることにちなんで名づけられました。祭りの主役は、腹に大きな顔を描いて踊る奇抜な「図腹(ずばら)踊り」で、北海道内のみならず全国、さらには海外からも観光客が訪れる、夏の北海道を代表する祭りのひとつとなっています。屋台や花火、市民によるパフォーマンスも加わり、子どもから年配の方まで誰もが笑顔になれる2日間です。

歴史・由来

北海へそ祭りは、1969年(昭和44年)に富良野市民憲章が制定されたのを機に、市制の発展と市民の連帯を願って始められました。その背景には、かつて原生林に挑んだ開拓の先人たちが、心身の精気が集まるとされる臍下丹田(せいかたんでん=へその下あたり)に力を込め、大樹を切り倒して大地を耕した、その逞しい開拓精神があるといいます。「へそ」という一見ユーモラスな題材の奥には、富良野という土地そのものの成り立ちと、人々の誇りが込められているのです。1974年(昭和49年)には北真神社(へそ神社)が創建され、以後は同神社の例大祭として位置づけられています。「へそは母と子をつなぐ絆」という思いから、親子の絆、そして地元富良野の人々と訪れる人々との絆を深めることをテーマに掲げ、半世紀以上にわたって受け継がれてきました。30年以上続いた人気テレビドラマ「北の国から」にも登場したことで、その名は全国へ広まりました。

見どころ

最大の見どころは、なんといっても「図腹踊り」です。踊り手は自分の腹を一人の人物の顔に見立て、色とりどりの絵具で大きな顔を描き、頭を大きな笠で隠して踊ります。腹が顔、笠で隠れた本来の頭は胴体という発想で、踊り手が腰をくねらせ腹を突き出すたびに「顔」の表情がユーモラスに変化し、沿道を埋める観客の笑いと歓声を誘います。「はあ〜まんなか、まんなかのどまんなかョ」という北海へそ音頭の調べに合わせて、へそ軍団が町を練り歩く様子は実に豪快で、2日間で参加する踊り手は100チームを超え、延べおよそ4,000人にのぼります。描かれる顔は歌舞伎役者風からキャラクターまで多種多彩で、その美しさやリズム感、足さばきを競う「北海へそ踊り大会」「子どもへそ踊り大会」、へそ踊り保存会による実演、富良野彌榮(いやさか)太鼓の和太鼓演奏、富良野高校書道部のパフォーマンスなど、見どころが目白押しです。公式キャラクターの「へそ丸くん」も会場を盛り上げます。

開催情報・アクセス

北海へそ祭りは毎年7月28日・29日の2日間、富良野市の新相生通り商店街の特設会場(祭り広場)で開催されます。会場はJR富良野駅から徒歩約2分とアクセスが良く、夏の富良野旅行と組み合わせやすいのも魅力です。札幌方面からは特急「フラノラベンダーエクスプレス」、旭川方面からは観光列車「富良野・美瑛ノロッコ号」など、夏季限定の列車を利用すると旅情も味わえます。見るだけでなく自ら踊りたい人のために飛び入り参加のコーナーも用意されており、当日に受付で申し込むと、はっぴと笠の衣装一式を借りて図腹踊りに加わることができます(人数限定)。腹に顔を描いてもらい、富良野の夏を全身で体感できる特別なひとときとなるでしょう。会場では地元の飲食店が集う「特産市へそグルメ」も開かれ、富良野ならではの味覚も楽しめます。

周辺の見どころ

富良野・美瑛エリアは、夏の北海道を代表する観光地です。7月から8月にかけては一面に広がるラベンダー畑が見頃を迎え、なかでも「ファーム富田」の紫のじゅうたんは富良野の代名詞として知られています。隣接する美瑛町には、神秘的な水の色で人気を集める「青い池」や、なだらかな丘陵に農地が織りなすパッチワークのような風景が広がります。ぶどう畑を望む富良野のワイン文化やチーズ工房、夏でも涼やかな大雪山系の自然も楽しめ、祭りと合わせて富良野・美瑛を周遊すれば、北海道の夏を満喫できます。

関連情報

北海へそ祭りは「日本のへそ(中心)」という発想を核にした祭りで、同じく「へそ」をテーマにした祭りとして群馬県渋川市の「渋川へそ祭り」も知られています。富良野には北海道の地理的中心を示す中心標が立っており、市の「へそ」としてのアイデンティティを象徴しています。腹に顔を描くというユニークな趣向は写真や動画にも映えることから、SNSを通じて若い世代や海外の旅行者にも人気が広がっています。開拓の精神を受け継ぎながら、見る人・踊る人の垣根を越えて町全体が一つの笑いの輪になる――そこに、半世紀を超えて愛され続けるこの祭りの本質的な温かさがあります。


出典・関連リンク

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