パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)は、北海道札幌市で毎年7月から8月にかけて約1ヶ月間にわたって開催される国際教育音楽祭であり、世界三大教育音楽祭の一つに数えられる。20世紀を代表する指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインが、若手音楽家育成を理念として1990年に創設し、今もその精神を継承する若き才能育成の場として国際的に高く評価されている。

PMFの創設は1990年(平成2年)にさかのぼる。米国のタングルウッド音楽祭(ボストン交響楽団主催)、ドイツのシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭と並ぶ「世界三大教育音楽祭」を構想したバーンスタインが、晩年に手がけた最後の大プロジェクトとして札幌で開催することを選んだ。創設の前年に来日して札幌芸術の森を訪れたバーンスタインは、自然と都市が共存する札幌の環境と、北海道民の音楽への熱意に深く感銘を受け、ここを教育音楽祭の地として選定した。バーンスタインは創設の年に72歳で逝去したが、その精神は札幌市と国際的な音楽家コミュニティによって今日まで継承されている。

PMFの中核はPMFオーケストラと呼ばれる若手音楽家のためのオーケストラである。世界中から書類審査とオーディションを経て選ばれた20歳代から30歳代前半の若手演奏家約100名が、約1ヶ月間札幌に滞在し、世界トップクラスの指揮者・ソリスト・室内楽奏者の指導を受けながら集中的に研鑽を積む。PMFアカデミーと呼ばれるこの教育プログラムでは、ボストン交響楽団、ベルリン・フィルハーモニー、ウィーン・フィルハーモニーなどの首席奏者がプロフェッサーとして招かれ、若手と直接共演しながら指導を行う密度の高い学びの場が提供される。

主会場である札幌芸術の森野外ステージは、自然林に囲まれた約7,500人収容の野外コンサート会場で、夏の札幌の心地よい気候のなか開放的な雰囲気で本格的なオーケストラ演奏が楽しめる。札幌コンサートホールKitara、札幌市民交流プラザのhitaru、北海道立札幌芸術の森美術館エリアなど市内各所でも演奏会が開催され、約1ヶ月間にわたって市民・観光客が日常的にクラシック音楽に触れられる稀有な機会となる。チケット価格も比較的手頃で、芸術の森のピクニックコンサートは家族連れにも人気がある。

期間中はPMFオーケストラのコンサートに加えて、室内楽演奏会、PMFアンサンブル、招聘アーティストによるソロリサイタル、子ども向けの公開リハーサルなど多様なプログラムが組まれる。札幌交響楽団との合同演奏会、世界的な指揮者による特別演奏会など、年によって魅力的な企画が並ぶ。

アクセスは札幌市営地下鉄南北線真駒内駅からバスで約15分、JR札幌駅からは観光バスツアーや直行バスも運行される。札幌観光の定番である大通公園、すすきの、円山動物園、北海道大学植物園、藻岩山ロープウェイなどと組み合わせれば、夏の北海道を音楽と自然の両面から堪能する充実した旅程が構成できる。


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