鶴見の田祭り(つるみのたまつり)は、神奈川県横浜市鶴見区の鶴見神社で行われる民俗芸能で、稲作の一年の流れを模擬的に演じて豊作を祈願する「田遊び(たあそび)」の一種である。中世から伝わる古い農耕儀礼を今に伝える貴重な芸能として知られ、横浜市の無形民俗文化財に指定されている。

田遊びとは、田植えの前に、その年の稲作が順調に進み豊かに実るようにと願って、田起こし・種まき・田植え・稲刈りといった農作業の所作を、歌や踊りを交えて演じる予祝(よしゅく)行事である。鶴見の田祭りでは、神事に続いて、面をつけた演者や地元の人々が、稲作の過程を一つひとつ演じていく。素朴ながらも由緒ある所作の数々は、農業が人々の暮らしの中心にあった時代の信仰のかたちを伝えている。

鶴見の田祭りは、一時途絶えていた時期もあったが、地域の人々の熱意によって復活し、現在まで受け継がれている。都市化が進んだ横浜の地で、中世以来の農耕の祈りが今なお演じられていることは、地域の歴史と文化を守り伝えようとする人々の努力の賜物である。春の訪れとともに豊作を願うこの祭りは、失われゆく農村の記憶と祈りを現代に伝える、貴重な民俗文化として大切に守られている。


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