御柱祭は、長野県諏訪地域の諏訪大社で寅年と申年の7年に一度(数え年の7年・実際は満6年間隔)開催される神事であり、日本三大奇祭の一つに数えられる天下の大祭である。山中から切り出した樅の大木16本を、氏子たちの手と組織された曳行隊によって諏訪大社の上社本宮・上社前宮・下社春宮・下社秋宮の四社の社殿四隅に建て替える壮大な行事で、約1,200年以上の歴史を持つ諏訪信仰の中核をなす。次回開催は2028年(令和10年・申年)の春から夏にかけて予定されている。

御柱祭の起源は古く、平安時代初期の804年(延暦23年)の桓武天皇の時代には既に行われていたとの記録が残る。樹齢150年を超える樅の大木を山から切り出し、これを神の依り代として社殿の四隅に建てることで、社殿の御神威を更新するという信仰に基づく。柱は長さ約17メートル、直径約1メートル、重さ約12トンに達する巨木で、これを人力のみで山から里へ、そして社殿まで運搬する過程そのものが祭礼の中心となる。

最大の見どころは「木落とし」と「川越し」である。上社の木落としは茅野市の木落とし坂で、下社は下諏訪町の木落とし坂で行われ、約30度の急斜面を巨木に氏子たちが乗ったまま一気に滑り落とす。命がけの神事として知られ、過去には死傷者も出ているが、それでも地元の若者にとって御柱に乗ることは生涯の名誉とされる。上社の川越しは宮川を渡って柱を運ぶ神事で、冷たい川水に浸かりながら大勢で柱を曳き渡す光景は壮観である。

里曳きの段階では、各地区の氏子が法被姿で「ヨイサー、ヨイサー」の掛け声とともに柱を曳き、ラッパ隊の音色や木遣り歌が街道に響く。沿道では家々が屋台を出し、地元の郷土料理や酒を振る舞う。一般観光客も限定的に曳行に参加できる区間があり、地元の氏子と一体となって日本最大級の神事を体験できる貴重な機会となる。

会場は諏訪市・茅野市・岡谷市・下諏訪町・諏訪郡富士見町の5市町にまたがる広範囲で、上社木落とし会場へは中央自動車道諏訪南インターから、下社木落とし会場へはJR下諏訪駅から徒歩約25分。御柱祭年以外でも諏訪大社四社めぐり、諏訪湖、霧ヶ峰高原、八ヶ岳など信州中央部の観光地が充実しており、2028年の次回開催を待つ間も訪れる価値が高い地域である。


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