送り火(おくりび)は、お盆の期間に家へ帰ってきた祖先の霊(精霊)を、現世から再びあの世へと送り出すためにたく火である。迎え火と対をなす日本の伝統的な年中行事で、一般的にはお盆の終わりである8月16日(地域によっては7月16日)の夕刻に営まれる。

送り火は、家庭の門口で苧殻(おがら)を燃やす素朴なものから、地域全体で行う壮大なものまで、その形はさまざまである。なかでも最も有名なのが、京都の「五山送り火(ござんのおくりび)」である。8月16日の夜、京都を囲む山々に「大」の字などの巨大な火文字が次々と灯される光景は、京都の夏の終わりを告げる風物詩として全国的に知られ、多くの観光客を魅了する。

また、灯籠に火を灯して川や海に流す「精霊流し(しょうろうながし)」や「灯籠流し」も、送り火の一形態として各地で行われる。水面を埋め尽くす無数の灯りが、祖霊をあの世へと導いていく光景は幻想的で、見送る人々の祈りが込められている。送り火は、祖先への感謝と別れの情を表す行事であり、日本人の死生観と、亡き人を慈しむ心を象徴する、夏の終わりの静かで美しい習わしである。


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