概要

東流は、福岡市博多区で開催される博多祇園山笠を構成する七つの流(ながれ)の一つである。博多祇園山笠は、櫛田神社の夏の神事として毎年7月1日から15日にかけて行われ、国の重要無形民俗文化財に指定されている。東流は、その中でも特に歴史が深く、旧呉服町流や旧東町流などの複数の町筋が合わさって形成された流である。

東流の舁き山笠は、伊勢・鈴鹿山の鬼神を征伐した坂上田村麻呂を題材とするなど、武勇や疫病退散を願うテーマが特徴的である。また、飾り山笠は呉服町交差点の南東角に設置され、地域の企業や住民の協力によって維持されている。東流は、博多の歴史と文化を体現する重要な存在として、毎年多くの見物客を集めている。

歴史・由来

東流の起源は、博多祇園山笠の成立と深く結びついている。博多祇園山笠は、鎌倉時代に聖一国師が承天寺を建立した際、疫病退散を祈って施餓鬼棚に乗って水をまいたことが始まりとされる。この行事が発展し、現在のような山笠の形になったと伝えられている。東流は、かつて存在した「呉服町流」「東町流」「櫛田流」「福神流」「岡流」などの複数の流が統合されて現在の形となった。

具体的には、東流は御供所一区・三区・四区(旧東町流)、東長寺新道(旧呉服町流)、奥の堂町(旧櫛田流)、金屋小路(旧東町流)、上桶屋町・下桶屋町(旧櫛田流)、北船町(旧東町流)、上普賢堂町(旧櫛田流)など、多様な地域から構成されている。さらに、還暦のグループには下普賢堂町(旧櫛田流)、普賢堂町(旧櫛田流)、魚町(旧福神流)、上東町・下東町(旧東町流)、上浜口町・中浜口町(旧東町流)、鏡町(旧東町流)、駅前(旧岡流)が含まれる。このような複雑な構成は、博多の街の発展とともに町が統合されてきた歴史を反映している。

東流の飾り山笠は、昭和57年(1982年)から呉服町交差点の南東角に設置されるようになった。それ以前は、流当番制で舁き山笠が同じ場所に据えられていた。舁き山笠行事が始まると、下部の六本の棒を固定した山笠台を引き出し、別の人形を飾って舁く仕組みになっている。この場所は、博多の交通の要所であり、多くの人々の目に触れる位置にある。

博多祇園山笠振興会の第九代会長である瀧田喜代三は、東流に所属している。また、平成21年(2009年)の集団山見せでは、プロ野球・福岡ソフトバンクホークス会長の王貞治が台上がりを務めた。このように、東流は地域の歴史だけでなく、現代の博多の文化やスポーツとも結びつきを持っている。

見どころ

舁き山笠の勇壮な巡行 東流の舁き山笠は、博多祇園山笠の期間中に最も注目を集める行事の一つである。毎年7月15日の朝、追い山笠として櫛田神社を出発し、博多の街を駆け巡る。この巡行は、疫病退散と五穀豊穣を祈るものであり、舁き手たちの掛け声とともに山笠が疾走する姿は圧巻である。

飾り山笠の豪華な人形 呉服町交差点に設置される東流の飾り山笠は、毎年異なるテーマで制作される。歴史上の出来事や人物を題材にした人形が飾られ、その精巧さと美しさで見る者を魅了する。飾り山笠は、地域の企業や住民の寄付によって維持されており、博多の町の誇りとなっている。

東流のテーマに込められた意味 東流の舁き山笠では、能の演目「田村」を題材にした「千手乃光照丈夫」が用いられることがある。これは、坂上田村麻呂が伊勢・鈴鹿山の鬼神を征伐する物語であり、不況や病の退散を願う意味が込められている。このテーマは、現代の博多の人々の願いを反映している。

還暦のグループの伝統 東流では、還暦を迎えた者が所属する「還暦」のグループが存在する。このグループは、下普賢堂町や魚町など、複数の町筋から構成されており、伝統の継承に重要な役割を果たしている。還暦のメンバーは、長年の経験を活かして山笠行事を支えている。

集団山見せでの華やかな演出 東流は、集団山見せの際に特に華やかな演出を見せる。台上がりには著名人が招かれることもあり、地域の活性化に貢献している。この行事は、山笠の迫力を間近で感じられる貴重な機会である。

地域住民の結束の象徴 東流の運営は、地域住民の強い結束によって支えられている。総務や役員は、毎年交代で務められ、多くのボランティアが参加する。この結束は、博多の町のコミュニティの強さを示している。

開催情報・アクセス

  • 開催時期: 例年7月1日から7月15日まで。最新の日程・実施可否は公式サイトで確認すること。
  • 開催場所: 博多区上呉服町交差点周辺(飾り山笠の設置場所)。舁き山笠の巡行は博多区内全域。
  • アクセス: 福岡市地下鉄空港線「祇園駅」から徒歩約5分。または西鉄バス「呉服町」停留所下車すぐ。
  • 料金: 沿道での観覧は無料。有料観覧席(桟敷席)が櫛田神社前に設置される場合があるが、料金は年により変動するため公式発表を参照。
  • 問い合わせ先: 博多祇園山笠振興会(櫛田神社内)。電話番号は092-291-2951。メールは[email protected]。ただし、山笠期間中(7月1日~15日)および準備中(6月1日~30日)は電話対応が限定的になることがある。
  • 駐車場: 周辺にコインパーキングあり。ただし、山笠期間中は交通規制が敷かれるため、公共交通機関の利用が推奨される。

周辺情報

東流の飾り山笠が設置される呉服町交差点の周辺には、歴史的な寺院や商業施設が集まっている。徒歩圏内には、博多総鎮守である櫛田神社があり、山笠の神事が行われる中心地である。櫛田神社は、博多の歴史を感じられる観光スポットとしても知られ、境内には「力石」や「恵比須神社」などの見どころがある。

また、近くには承天寺があり、博多祇園山笠の起源とされる聖一国師ゆかりの寺院である。承天寺は、鎌倉時代に建立され、博多の港町としての歴史を物語る場所である。境内には、聖一国師の像や、山笠の起源を伝える碑がある。

さらに、呉服町周辺は博多の商業の中心地であり、多くの商店や飲食店が立ち並ぶ。特に、上川端商店街は、博多名物の明太子や辛子明太子、博多ラーメンなどの店が軒を連ね、観光客にも人気がある。山笠の時期には、これらの店舗も山笠を応援する飾り付けを行い、祭りの雰囲気を盛り上げる。

関連情報

  • 博多祇園山笠振興会は、東流を含む七つの流を統括する組織であり、櫛田神社内に事務所を置く。
  • 東流の舁き山笠は、毎年7月15日の追い山笠で櫛田神社を出発し、博多の街を約5時間かけて巡行する。
  • 飾り山笠は、呉服町交差点の南東角に設置され、山笠期間中は一般公開される。
  • 東流の構成町は、御供所一区・三区・四区、東長寺新道、奥の堂町、金屋小路、上桶屋町・下桶屋町、北船町、上普賢堂町など、約12の町筋からなる。
  • 還暦のグループは、東流の伝統継承に重要な役割を果たし、魚町や上東町などからメンバーが参加する。
  • 博多祇園山笠は、国の重要無形民俗文化財に指定されており、その歴史は770年以上に及ぶとされる。

出典・関連リンク

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